鬼太郎感想 20話「妖花の記憶」
こんにちは、はりめっこです。
鬼太郎も、はや20話ですね。(ブログの更新は2週おくれ…)
20話の放送日は2018年8月12日。
3日後の15日は終戦記念日です。戦後73年ですね…
鬼太郎の今回のテーマは「戦争」。
とても切ないお話だったので、感想がなかなか書けませんでした。
まなちゃんの大おばあちゃん(淑子さん)のお家に咲く真っ赤な花。
それが妖花であることに気づいた鬼太郎ファミリーは、どこから来た花なのか確かめるために南へ向かいます。
ここ、まなちゃんが同行するときに「ちゃんと約束どおりお母さんの許可をもらってきた」って言うのが良いですねー。
鬼太郎ファミリー、未成年者を連れまわすときのルールを心得てらっしゃる。妖怪なのに。
目玉おやじが「親御さんの許しをもらってこなければ連れていくわけにはいかん」とか言ったのかな。
そして、移動手段に選ばれたのがハマグリ船!船頭はかわうそ!
ここも原作どおりで嬉しい。かわうそが皆と仲良しになれててほっこりします。
(でも島に上陸したときはいなかったですね。船でお留守番かな)
さてさて、島に上陸したまなちゃんが目にしたのは、日本人戦没者の慰霊碑。
「なぜこんな日本から離れたところに・・・」と驚くまなちゃんに、鬼太郎たちが「日本が外国を攻めていた時代があった」と説明します。
「いやな時代だったぜ・・・」と呟くねずみ男が渋い。
原作設定だと、鬼太郎(ねこ娘もか?)は戦後生まれのはず。
鬼太郎は目玉おやじや回りの人から戦争の様子を聞いたんでしょうか。
ねずみ男はしっかり戦争の時代を経験しているでしょうね。みんなが空腹で、どうしようもなかった「いやな時代」を、妖怪たちはどう生きてきたんだろう・・
次に目にしたのは、日本の林業会社が森を伐採している場面。
「また日本語・・・」と怪訝な顔をするまなちゃん。
会社の現場責任者は「ちゃんと許可をとっている」と言いながらも、ご神木を切ろうとしたことで毎晩襲ってくる『戦争の音』におびえている。
ネットでも話題になったみたいですが、『戦争の音』を実際に聞いた鬼太郎ファミリーの行動が歴戦の戦士みたいで最高にかっこよかった!
後ろ蹴りでたき火を消して伏せる鬼太郎さん、傭兵かな?
「爆発の光もない、火薬の匂いもない」と冷静に状況を判断する様子も、みなさん実戦経験が豊富そうでいいですね・・・6期はやっぱり歴代最強説があります。
(ファミリー全体だと6期が最強のイメージ。鬼太郎単体だとまだ未知数だけど、身体能力は高そう。)
鬼太郎ファミリーが上記の対応をしている間、おトイレに行ったまなちゃんは謎の足跡に追いかけられてます。
※まなちゃん、トイレって言うのが恥ずかしくて「水をもらってくる」って言って離れたんですけど「(鬼太郎も)トイレって察してくれればいいのに…」ってそれは無理だよ。歴代で一番ニブいからね。
足跡に導かれて、ご神木にたどり着いたまなちゃんたち。
根本には日本兵のご遺骨がたくさん眠っています。
その中には、淑子さんの恋人だった総二郎さんのご遺骨も…
総二郎さんの想いが妖花となって、淑子さんの家に花を咲かせていたのです。
そして、そのご遺骨たちを守るため、林業会社を戦争の音で脅していた森の精霊トゥブアン…。
人に危害を加えないといわれているトゥブアンが、『自分たちが聞いたなかでもっとも恐ろしい音』である戦争の音を再現して人間を追い払おうとしていました。
胸がしめつけられて、涙なくしては見られないシーンでした。
生の音って、本当に怖いんですよ。
現代日本だと想像しにくいですけど、例えば猛スピードで自分にせまってくる車の音ってすごく怖いですよね。ギュオオオオンって感じの音。
それを何倍にもしたような怖い音が、かつてこの穏やかな南の島を襲っていた。
自分の命を奪おうと迫ってくる音です。
人間も、妖怪も、どれほど怖かっただろう。
そして、そんなふうにご遺骨を守ってくれていたトゥブアンに対してまなちゃんが言った言葉は「ありがとうございました」。
日本人として?人間として?その両方なのか。お礼を言ったまなちゃん。
もう涙がずんばずんば・・・
そう、「ありがとう」ですよね、ここの言葉は。
以前テレビで、とある南の国で「いつか遺族が取りにくるかも」と言って、日本兵のヘルメットとか服とかをずっと持ってくれている島民の方たちが取材されていました。もう、「ありがとう」という以外にないんですよ。そして、そんな風に国や種族を越えて尊重しあえる我々が、なぜ戦争をしてしまったのかという無念。
いろんな思いが、「ありがとう」には込められているんだと感じました。
まなちゃんは第1話でも妖怪について「わからない、でもわかりたい」と言っていました。私はこのセリフが6期全体のテーマに対するアンサーだと思っているんですが、この20話でもまなちゃんは「わからないけどわかりたい」という精神で戦争と向き合っているなと感じました。戦後70年以上たった現代っ子のまなちゃんが、戦争を経験したトゥブアンとほんの少し心を交差させた瞬間でしたね。
最後に、総二郎さんのご遺骨が握りしめていた淑子さん宛の手紙をもって帰国したまなちゃん。
総二郎さんは、淑子さんとの結婚を反対され親の怒りを買い、戦争に送られたらしい・・・
ここの脚本もすごくないですか?
たんに徴兵されたということではなく、「親の意向で」というところを付け加えてくるあたり、6期は本気ですよ。人間というものを描こうと本気。
戦争の話だとわりと「親が涙を隠して″御国のために″と送り出した」という場面が多い気がしますが、総二郎さんはそれともまた違う。※いろいろ他の方の感想を見ていると、「総二郎さんは名前からして次男だったのでは?」という考察もありました…。
6期は本当に、一筋縄ではいかない。
6期は妖怪との関わりを通じて、「人間」の姿を浮き彫りにしようとしている気がします。人間の汚さ、弱さ、強さ、気高さ…それらが、人間ではない「妖怪」という異文化と関わることで浮かび上がってくるのではないか。
そのために鬼太郎さんがかなりストーリーテラーに寄ってるという気がしますが活躍する場面めっちゃ少ないし、これから鬼太郎自身が妖怪としてどう人間と関わっていくのか、楽しみですね。
お盆の時期にふさわしい、最高の20話でした。
はりめっこ